2010年10月6日水曜日

文盲

私の知人は文字が読めません。

彼はモトドップと呼ばれるバイクタクシーの運転手をして子供を養っています。しかし、モトドップの稼ぎだけでは足らず、奥さんも家政婦をして働いています。彼女は少し読めますが、難しい言葉は分からないうです。二人は子供を一人だけにして、その一人の教育に稼いだお金を注ぎ込んでいます。しかし、子供が大きくなれば教育費も大きくなります。二人は良い仕事を探していました。

ある日、彼は車の運転手の仕事を見つけましたが、運転免許を持っていません。カンボジアでは最近までバイクの運転免許がなかったため、警官は無免許運転を時々取り締まるだけで普段は黙認しています。そのおかげで彼はバイクタクシーで稼ぐ事ができたのです。

運転免許を取るには筆記試験があります。彼はこれを機に文字が読めるようになろうと思いました。お客さんの少ない時間帯に自動車学校に行って車の運転を習い、子供を寝かしつけてから奥さんに文字の読み方を教えてもらい始めました。

しかし、すでに30歳を過ぎている彼には試験に出てくるクメール語を覚える事すら難しく、ついにはあきらめました。彼は危険な夜もバイクタクシーの仕事をして稼ぐと言っているようです。

どの程度の比率かは知りませんが、カンボジアでは文盲の人を見かけます。プノンペンには午後6時頃から授業が始まる大学の夜間コースが多くありますが、小学校や中学校に行けなかった大人のための夜間学校は聞いた事がありません。いまのプノンペンではベビーブームで、増えた子供の教育だけでも大変です。ましてや、大人の教育まで手が回っていないようです。

教室はあっても教師が不足しています。

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